お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
ずっと冷たかった藍斗さんが私を信頼していると言ってくれた。
それだけで舞い上がりそうになるも、藍斗さんは苦い顔をしている。
「パーティーに参加するからには、エスコートの必要が出てくる。もし俺に触れられるのが嫌なら、今のうちに言ってくれ」
「……大丈夫。別に嫌じゃない」
まだ先日の件を気にしているのだろうか。
いきなり迫られた件は驚いたけれど、あれ以来彼は距離を取っているし、私も既に整理がついている。
むしろ今は、避けられているのを寂しく思っているくらいだ。
「この間のことならもう気にしないで。その……疲れていると頭が回らなくなったりするよね」