お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
 藍斗さんはなにか言いたげに私を見つめると、無言で背を向け、二階に戻っていった。

 距離を取る生活は引き続き変わらない予感がする。

 でも、少なくとも必要があれば妻として扱ってはくれるらしい。

 自分だけが一方的に恋をしている白い結婚は、思った以上に胸が苦しいのだと溜息をついた。



* * *



 妻としての同行を求められたパーティーは、想像していたよりも大規模だった。

 ホテルの大部屋を貸し切った立食形式で、ぱっと見る限りだと四十歳から五十歳くらいの年齢層が多いように思えた。

 社長が集まるパーティーということだから、自然と年齢層も上がるのだろう。

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