お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
「個人的には同意見だ。だが、少なくともパートナーがいる状態でやるのはやめたほうがよさそうだな」

「やっぱりだめか。そのほうが早そうなのにね」

「あまり前のめりになりすぎても空気が悪くなる。今くらいでいい」

 改めて、藍斗さんはこういう場に慣れているのだなと思った。

 なんとしてでも彼の目的を達成しなければと張り切る私と違い、余裕がある。

 もしかしたら内心はまったく違うことを考えているのかもしれないけれど、少なくとも私の目には落ち着いて見えた。

「まだパーティーが終わるまでは時間がある。少し肩の力を抜いたらどうだ。さっきから社長夫人というよりは、ただの営業職になっている」

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