冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない

　それを私に差し出し、軽くグラスの縁を重ねる。

「さっきから飲み物も飲んでいなかっただろう。適当に楽しんでおけ」

「ありがとう。喉が渇いたなって思ってたところだったの」

　これはもしかしてシャンパンだろうか、と思いながら口をつける。

　唇を通ったアルコールが泡とともにさわやかに弾け、心地よい刺激を喉に与えてくれた。

　自分がいかに渇いていたかを実感し、あっという間に飲んでしまう。

　視線を感じて顔を上げると、まだひと口程度しか飲んでいない藍斗さんが微かに目を見開いていた。

「そんな勢いで飲むとは思わなかった」