お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
『円香、本当にすまない。お父さんのせいで……』

「そんなふうに思ってない。私だって優陽に言われたら助けちゃうもん。それより、友だちと連絡はついた? 大丈夫?」

『いや……』

「そっか。せめて無事だってわかるといいね。私のことは気にしなくていいから、あんまりふさぎ込んじゃだめだよ」

 すまない、とまた父が震える声で言う。

 もしこの場にいたら背中を撫でて慰めるのに、そうできないのがもどかしい。

「とりあえず、すぐ副業を探してみる。休暇もまだ使ってないのがあるし、短期で一気に稼げる場所もありそうだから」

 そう説明し、電話を切ってからふうっと息を吐いた。

「三千万かあ」

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