冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
「せめて外でやれ。ここは目立つ」

「あっ」

 藍斗さんに手を掴まれ、そのまま引っ張られて外に連れて行かれる。

 一階にあるこの会場は、ホテルのエントランスを通らなくても中心部にある庭園へ出ることができた。

 庭園に足を踏み入れると、ほかにも夜風に当たりにきている招待客の姿がちらほらある。内々の話をしているふうな人の姿もあれば、落ち着いた静かな場でのんびり談笑を愉しんでいる人もいるようだった。

 藍斗さんは私を連れ、ひと気の少ない場所へと導いた。

背の高い生垣に囲まれたそこには小さなベンチがあり、横にバラの花壇が置かれている。

「座るところがあるよ」

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