冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
 どくんと心臓が跳ねる。

 それを覚えているのは私だけかと思っていた。

 だってあまりにも子どもっぽい、他愛ない雑談の流れで出た言葉だ。

「だからプレザントリゾートを作ってみた。志信にも作りたい理由があったしな。お互いにちょうどよかった」

「結局、ちゃんと見られてないや。あの日は優陽と一緒に見学するはずだったのに」

「俺と会わないほうがよかったか?」

 思わず顔を上げて藍斗さんと目を合わせてしまい、後悔した。

 彼の瞳に囚われたら、もう逃げられない。

「……少しだけ」

 あの日、藍斗さんに会わなかったら私の人生は大きく変わっていた。

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