冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
 ただ、藍斗さんと話したいと思っていたのは事実らしく、好意的な態度を隠さなかった。

「そうだったんですね。実は今日、こちらにいらっしゃると聞いて探していたんです」

「おお! 新気鋭と評判の筑波さんにそう言われるとうれしくなりますね」

 ふたりが並んでいると、親子ほどの年の差がある。

 だけど藍斗さんはうまく話を引き出して会話を盛り上げていた。

 向こうも藍斗さんを若手だと軽んじず、きちんと対等に話してくれる。

 特に口を挟むこともなく、私はおとなしくその様子を窺っていた。

 以前、お飾りの妻でいいと言われたけれど、今はまさにその状態だろう。

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