冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
「だったらあれは素面(しらふ)でやっていたのか?」

 一度話が逸れたのに、また戻ってしまう。

 藍斗さんに詰められ、どう答えるべきか迷った。

「半分くらい……? でもお酒の力を借りたのは事実、です」

 視線が痛い。続きを促されているのを感じる。

「いつまでも避けられたくない気がして。もっと普通にしてほしかったから」

「それがどうして、ああなる?」

「……ごめんなさい」

「謝罪を聞きたいんじゃない。……好きになりそうだとかなんとか、どこまで本音なのか知りたいだけだ」

 勢いのまま言った自分に後悔しつつ、首を横に振った。

「あの辺りは勢いで言っただけだから気にしないで」

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