冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
「お前と同じだ」

 好きでも嫌いでもない、ちょうど中間の感情。

 曖昧すぎて、彼にそう答えたことを悔やむ。

 しばらくしてから、藍斗さんは私を腕の中から解放した。

「先に風呂に入って寝ろ。俺は今日会った相手に連絡してから寝る」

「うん、わかった。遅くなりすぎないようにね」

 もし私が好きになってしまったらどうするのか、改めて聞きたい気持ちが芽生える。

 その場で関係を終えるのだと思っていたけれど、もしかして違う結末が待っているのか。

 だけどその思いは隠して、浴室へ向かった。

 脱衣所に入り、ドアを閉めてから自分の身体を抱き締める。

 焦がれたぬくもりはまだ残っていて、私をもどかしい思いにさせた。

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