冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
どこからが〝好き〟なのか
どうしてこんなことになったのか。
自分のための旅行なら絶対選択肢に入ってこない立派な旅館を前に、呆然と立ち尽くす。
「どうした、入らないのか?」
「入る、けど……」
都心から専用路線でおよそ一時間半。
そこまで移動すると、景色はビル群から山奥の大自然へ変わる。
豪勢な門をくぐると、和風造りの旅館と上品な着物に身を包んだ女将が私たちを出迎えてくれた。
藍斗さんがチェックインを済ませている間に、改めてこの状況に首を傾げる。
まず、先日藍斗さんは松田社長と会食を行った。