冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
 結局のところ、考えたって答えは出ない。

 今はひとまず、最初で最後かもしれない旅行を堪能しておこう。



 時間が過ぎるのは早いもので、あっという間に夜になった。

 館内を見て回った後は庭で過ごし、スリッパから靴に履き替えて観光をした。

 旅館から車で十分ほどの距離にある滝を見て、渓流釣りで盛り上がり、また車を走らせて山の上からの景色を楽しんだ。

 部屋でゆっくり過ごそうと言わなかったのは、藍斗さんとふたりきりの時間をどう扱っていいかわからなかったからだ。

 だけど夜になると、さすがに外へ出るわけにはいかなくなる。

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