冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
 彼を避けて別の部屋へ行くのもわざとらしい気がして、結局リビングに落ち着いた。

「夕飯、豪華だったね」

「俺より食っていなかったか?」

「大げさだな。そんなわけないでしょ」

「本当に大げさか? 俺の天ぷらを持っていったくせに」

「食べたいならいいよって言ったのは藍斗さんでしょ!」

 食いしん坊のレッテルを貼られそうになり、恥ずかしくなって言い返す。

 抹茶塩で食べる天ぷらがあまりにもおいしすぎて感動していたら、藍斗さんが食べてもいいと譲ってくれたのだ。

 それなのになぜか、私が欲しがって奪ったことになっている。

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