冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
 ひどい人だと怒っていると、テーブルに肘をついた藍斗さんが口角を引き上げた。

「なに?」

「今日はあっという間に一日が過ぎたなと思ってな」

「楽しかったね」

「……ああ」

 ぽろっと出た気持ちを、藍斗さんが肯定してくれる。

「楽しかったの?」

 単なる相槌なのかどうか知りたくて、つい踏み込んでしまった。

 藍斗さんは私を見つめたまま、苦笑して言う。

「ああ、楽しかった」

「……よかった。私だけじゃなくて」

「お前こそ本当に楽しかったのか? 一緒に過ごした相手が俺なのに」

「あなたらしくないね、その言い方。自分を卑下するようなこと、普段は言わないでしょ」

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