お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
 彼女のふんわりやわらかな空気と淡い水色がマッチして、ひいき目抜きにかわいかった。

「セレモニーってどんなことをするんだろうね」

「社長の挨拶とか?」

「それはそう。私が言ってるのはオリエンテーションとか、そういう話」

 天然の自覚がない優陽が『なるほど』と真面目な顔でうなずく。やっぱり私の親友はとびきりかわいい。

 ふたりで人の流れに従い、敷地内のホテルへ向かった。

 荷物検査と招待券のチェックを済ませ、わくわくしながらホテルのエントランスに足を踏み入れる。

 まだ敷地内を見学したい人のほうが多いのか、中は意外と空いていた。

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