お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
 たくさん人が入っていくところを見たのに、と思ってから、そもそもエントランスホールが広いからなのだと気づく。

 ほかの招待客と同じく壁や室内を見回し、豪華なシャンデリアや飾られた花を見ては優陽と盛り上がった。

 さっきまで少し緊張したふうだった優陽の顔にも、少し余裕が出ている。

 たしかにこういう場所は気後れする。私はたまに仕事で知り合った取引先から、懇親会や慰労会に誘われることがあったから、まだそこまで緊張せずにいられた。

 そういうわけで心に余裕があるからか、招待客の中にちらほら見知った顔があることに気づく。

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