冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
 私もいい加減、冷静に考えなければならない時が来たようだ。

 藍斗さんのことは好きだ。それはもう認めるしかない。

 だけど彼を追いかけ続けて、幸せになれるかと言われたら絶対に違う。

 なにせ私は、一度彼に裏切られているのだ。

 見知らぬ女性を家に連れ込む藍斗さんを見て、どんなにつらかったか今でも思い出せる。

 ほかの誰かに心を明け渡している彼を、永遠に想い続けるのはきっと地獄のような日々だ。

 借金返済のために始まった関係だということを、改めて思い出す必要がある。

 つらいな、苦しいな、と自分が思うことが既にストレスで、どうにか発散する方法はないものかと思っていたある日のこと。
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