冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
 おめでたいことだけれど、そんな相手がいるなんてひと言も教えてくれなかった。

 親友なのに!と言いたい気持ちはあるものの、たぶん気を使ってくれたのだろうなと苦笑する。

 私たちはほかの女の子たちのように、恋愛について悩みを相談したり、のろけ話をしたりしなかった。

 それにしても、優陽が結婚。そんな日が来るなんて思いもしなかった。

 彼女の旦那さんは、どんな素敵な人なのだろう?

 願わくは、私のようにややこしく寂しい結婚生活を送っていなければいい。



 待ちに待った金曜の夜、私は女子会にぴったりだという個室の居酒屋で優陽と向かい合っていた。

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