冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
「結婚したこと、どうして言ってくれなかったの? びっくりしちゃった」

「私だっていきなり言われてびっくりしたよ。相手はどんな人?」

「先に優陽からどうぞ。聞くまで今日は帰らないからね」

「私も円香が教えてくれるまでは帰らないつもり」

 四人席の個室は当然私たちだけだ。

 空いている椅子に荷物を置き、久々の再会をのんびり喜ぶ間もなく本題に入る。

 適当に飲み物と食べ物を注文し、サワーの甘さに背中を押される形で話を盛り上げた。

 どんな人と結婚したのかという質問に対し、優陽は『いい人』と答えた。

 それをうらやましく思った自分が見苦しくて情けない。

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