冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
 親友の幸せを心からお祝いできないなんて最低だ。

「円香の旦那さんは?」

「……いい人ではないかな」

 ふう、と息を吐いてテーブルにもたれる。

 あんまり酒を飲むとまた藍斗さんに叱られそうだ。

 別に酒癖が悪いわけではないのに、彼の中でそういうイメージがついている気がする。

 今日はほどほどにしておこうと思いながら、思いつくまま彼のことを優陽に語った。

「どっちかっていうと、ひどい人。最低。鬼畜」

「そ、そんな人と結婚したの?」

「うん。なにを考えてるのか、ずっとわからない。……私のことなんて好きじゃないはずなのに」

 アルコールよりも優陽の存在のほうが私にとって危険だ。
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