冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
 優陽と話したおかげで多少すっきりしたとはいえ、根本的な問題は解決しない。

 時間が解決してくれる、というのはあまりにも投げやりな考えだろうかと、最近は仕事中もぼんやり藍斗さんのことを想っていた。

 そして優陽と楽しくもほろ苦いひと時を過ごした一週間後の金曜日。

 これまではきちんと公私を切り分けて影響させないようにしてきたのに、気が緩んでいたのか残業することになってしまった。

「珍しいな。三堂が残ってるなんて」

 営業の同期が話しかけてきて、来週の予定をホワイトボードに書き込んでいく。

 会社のフロアは私がいる周辺以外、もう電気が消えて暗くなっていた。

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