冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
 熱心に頑張ったおかげで、少し早めに終わった。

 大きく伸びをしたタイミングで立ち上がった同期と目が合い、お互いににやっと笑いあう。

「お疲れさま」

「お疲れさん。これで気持ちよく休みを迎えられそうだ」

「ほんとにね」

 軽く雑談しながら荷物をまとめ、ふたりで営業部のフロアを後にする。

 きっちり最後に電気を消してから外へ向かうと、会社の前に一台の車が止まっていた。

「こんな時間になんだ?」

「たぶん、私」

「え?」

 説明する前に、こちらに気づいたらしい藍斗さんが車を降りて近づいてくる。

 本当に迎えに来てくれたのがうれしくて、つい駆け寄ってしまった。

「藍斗さん」
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