お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
彼――筑波藍斗さんはホテル事業を手がける会社の社長なのだから。
こんなことなら、施設の創設や経営に携わる会社の名前まで見ておくべきだった。
「どうしたの?」
声をひそめた優陽に尋ねられるも、首を横に振るだけで答える。
壇上にいる藍斗さんから目を逸らせない。
そう思ったところで、彼をかつての恋人だと信じて疑わない自分がいることに気がついた。
二十四歳だった彼も今は三十二歳か。
落ち着いた雰囲気の中にも二十代前半のはつらつとした若さが見え隠れしていたのに、今はすっかり年齢相応の雰囲気がある。
年齢を重ね、より大人の男の渋みと色気が出たとでもいえばいいのだろうか。
こんなことなら、施設の創設や経営に携わる会社の名前まで見ておくべきだった。
「どうしたの?」
声をひそめた優陽に尋ねられるも、首を横に振るだけで答える。
壇上にいる藍斗さんから目を逸らせない。
そう思ったところで、彼をかつての恋人だと信じて疑わない自分がいることに気がついた。
二十四歳だった彼も今は三十二歳か。
落ち着いた雰囲気の中にも二十代前半のはつらつとした若さが見え隠れしていたのに、今はすっかり年齢相応の雰囲気がある。
年齢を重ね、より大人の男の渋みと色気が出たとでもいえばいいのだろうか。