冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
「この結婚は本物にする。借金の件も俺が返すから心配するな」

「それも確認したいけど、それじゃなくて」

 藍斗さんを本当の意味ですべて受け入れるには、解決していないことがあった。

「八年前、私以外に誰と付き合っていたの?」

 十秒は沈黙が降りた。

 完全に思考停止していたらしい藍斗さんは、まじまじと私を見つめてから思い切り顔をしかめる。

「なんの話をしているんだ?」

「だから、藍斗さんが――」

「八年もたったひとりの女を忘れられずにいたんだぞ。ほかの女の入り込む余地があると思うか?」

< 237 / 271 >

この作品をシェア

pagetop