冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
 そうはいっても、私との関係をきっかけにそことの縁を切ってほしくはない。

 叶うなら関係が改善されるようにできればいいけれど、藍斗さんが望まないことを強要したくなかった。

「私にできることはある?」

「なにもしなくていい。嫌な思いはさせたくないからな」

「……ありがとう」

 素っ気ない言い方だけどしっかり優しい。

 また新しい問題が発生したとはいえ、過去の誤解は解けた。

 ひとつずつ絡んだ紐をほどいて、今度こそ藍斗さんと夫婦になってみせる。

 一歩前進しただけでも、大きな進展だった。
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