冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
 四回曲がってから確信する。やはりあの車は私を追いかけてきているらしい。

 偶然道がかぶっただけなら、どこかで別れるはずだ。

 だけど曲がり角を四回曲がれば元の道に戻るから、そこまで一緒となるとおかしい。

 私にとってはあまりうれしくないことに、この道は昼でも人通りが少なかった。

 夜は街灯の明かりさえ乏しく、よからぬ考えを持った人間が動くのに絶好の場所だった。

 藍斗さんが早く来てくれるのを願いながら、スマホを握りしめて足を速める。

 家に向かって進んでいれば、向こうからくる藍斗さんと早く会えるだろう。

 そう思ったのに、つけてきていた車が急にスピードを出してきた。

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