冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
 男たちは一瞬どうすべきか悩んだようだったけれど、相手が悪いとみたのか慌ただしく車に乗り込んで去っていった。

 遠ざかる車に向けて、藍斗さんが冷静にスマホをかまえる。

「ナンバーは抑えた。どこの誰なのか、すぐに調べさせよう」

「……頼もしい」

 しみじみとつぶやいて、藍斗さんの手を握る。

「怖いって思う前に助けてもらっちゃった」

「それはよかった。怖いと思ってからじゃ遅いからな」

 私はもうひとりじゃないし、守ってくれる人がいるんだと、胸の奥がうれしさで温かくなる。

「さっきの人たち、私を連れてくるように言われてるって言ってたね。黒幕みたいな人がいるってことなのかな」

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