冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
 恥をかくのは嫌なようで、隣の真っ青な顔の義母を小突く。

「お前が詳しいだろう。どうなんだ?」

「えっ? そんな、詳しいだなんて」

 ふたりが責任を擦り付け合っているのを見て、改めて薄ら寒い気持ちになる。

 彼らは藍斗さんをいいように使い、搾取するための奴隷として望まない結婚を強いていただけでなく、犯罪行為に手を染めてまで私を排除しようとしたのだ。

 そして息子に詰められても罪を認めず、お互いを売ろうとしている。

「お義母さん、お義父さん。どうして藍斗さんがわざわざ直接来たんだと思いますか」

 見ていられなくなって声をかけると、驚いたことに睨まれた。

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