冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
「家も買った。毎月余るほどの仕送りもした。必要なものがあれば都度用意して、充分息子としての役目は果たしたと思うが? いつ終わらせてもよかったものを、これまで放っておいたのはお前たちがそれだけで満足していたからだ。害がなければそれでいいと思っていたのに、よりによって俺の最も大事なものに手を出そうとしてくれたな」

 まるで冷たい炎が燃え上がっているかのようだった。

 藍斗さんに睨まれた義両親がうろたえた様子で目をさまよわせる。

 驚いたことに、降参を示して両手を軽くあげたのは尚美さんだった。

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