冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
「絶対に嫌。なんでよ。私のほうがずっと前から藍斗と一緒にいたじゃない。そんなぽっと出の女にどうして取られなきゃいけないの? 社長夫人には私がなるって決まってたのよ!」

 彼女は藍斗さんが好きなわけではないのだと理解する。

 あくまで社長夫人という肩書と、彼の資産にしか興味がないのだろう。

 それがまた許せなくて、私はいいから藍斗さんに謝れと言おうとした。

 だけどその前に、玄関のほうで物音が聞こえた。

「どうも、開いてたんで入ってきちゃいました」

 突如現れた男は、高そうなスーツに身を包んでいて一見するとまともそうだった。

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