冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
 でもなんとなくそのにこやかな表情は胡散臭いし、なにより勝手に人の家に上がり込む常識のなさもおかしい。

 いったいどこの誰かと思っていると、尚美さんがいち早く反応した。

「ど、どうしてここにいるのよ。まだ支払いまで時間が……」

「それはうちに『いい人』を卸してくれたらの話でしょ。約束を反故にしたんだから、当然期限の延長だってしませんよ」

 なんの話かはわからないものの、少なくともこの男のほうが尚美さんより立場が上のようだ。

「お……お金ならないんだからね! 急かされたって困るわ!」

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