お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
 だって私は、八年前に別れを告げた今も彼のことが好きなのだから。



* * *



 大学一年生になった私は、学校に慣れ始めた頃、同じサークルの友人からとある交流会に誘われた。

 ほかの大学の生徒だけでなく、そこの関係者や卒業生も参加するとのことで、かなり大規模なものらしい。

 友だちが増えたらいいなと呑気についていったのだけれど、友人は友だちではなく恋人を求めていたようで、そうそうに私を放置して人ごみに消えてしまった。

 それならそれで適当に楽しむかと、甘いノンアルコールドリンクが入ったグラスを片手に初対面の人たちとの会話を楽しむ。

< 26 / 271 >

この作品をシェア

pagetop