冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
「あの人はいったい……?」

 思わず藍斗さんに尋ねるも、彼が知っているはずがない。

 代わりに、義母が心配そうにつぶやいた。

「大丈夫かしら。たしかに尚美ちゃん、あちこちからお金を借りていたみたいだけど」

「自分の不始末は自分でなんとかすべきだ。……やけに結婚したがると思ったら、借金で首が回らなくなっていたようだな。俺の金で返すつもりだったのか」

 義両親が気まずそうに目を逸らす。

 借金はしていないかもしれないけれど、藍斗さんのお金を目当てになにか考えていたのは間違いなさそうだ。

「誰にでもそんな真似をすると思ったら大間違いだ」

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