冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
「……気持ちはうれしいけど、ちゃんとあなたにも返すつもりだからね」

 こそっと言っておくけれど、黙殺された。

 代わりに藍斗さんは自分の両親を順番に見つめ、静かに言い聞かせる。

「見逃すのは今回までだ。もし円香に手を出したら、仕送りを止めるどころじゃ済まない目に遭わせてやる」

 藍斗さんは両親の反応を確認せず、私の手を引いた。

「もうここに用はない。帰るぞ」

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