お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
「取る。志信のことだ、仕事を優先したと知ったら一生ねちねち言う」

「そんな人には見えなかったけど……」

「ああ見えて性格の悪い男だぞ」

「それ、優陽の前では言わないでよ。優陽にとっては最高の旦那さまなんだから」

 ぴく、と藍斗さんが頬を引きつらせる。

 私の手から招待状を取り上げると、抱き寄せられた。

「お前にとっての最高の夫は?」

「最高でも最低でも、私の夫はひとりしかいません」

 なにを張り合っているんだと呆れる私に、藍斗さんがキスを落とした。

「俺たちも結婚式をしないとな。その前に指輪か」

「そういえばしてなかったね」

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