お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
 ないのが当然になっていたけれど、これからは違う。

 藍斗さんから指輪について言及してくれたのがうれしかった。

 この関係が偽物から本物になるのだと、やっと実感する。

「それと……」

「ん? ほかにもなにかある?」

「いや、こっちの話だ」

 曖昧に濁した藍斗さんは実に怪しかった。

 でも、話したくないならまあいいかとその場を流し、結婚祝いの話に移った。



 結婚式当日、私は優陽がチャペルに入ってきた時点で、顔がぐしゃぐしゃになるほど泣き散らしていた。

「優陽が結婚しちゃった。ドレスきれい……」

「わかったから落ち着け」

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