冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
 ぐすぐす泣く私の涙を、藍斗さんが横からハンカチで拭ってくれる。

 水無月社長との出会いはプレザントリゾートだそうだ。

 私が藍斗に連れ出された際、ふたりは交流を深めたらしい。

 不思議な縁だと思う。

 私が八年前、藍斗さんと別れていなければあんな再会もしなかったわけで、優陽が水無月社長と知り合う機会もなかった。

 苦い思い出だったけれど、優陽のためになったんだとしたらむしろ誇らしい。藍斗さんに言ったら呆れられそうではある。

 ふたりが誓いのキスをすると、もう嗚咽を止められなかった。

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