お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
「すごいです。こんなにお若い社長さんもいるんですね。どんな会社を経営されているんですか?」

 話し出すと、もう容姿に惹かれたことなど忘れてしまった。

 理知的な会話も、興味深い社長業の話も、彼が無駄のない進め方をしてくれることもあり、次々と知識欲と好奇心を刺激されてつい止まらなくなる。

 もっとたくさんの人と話そうと思っていたのに、結局交流会のほとんどの時間を筑波さんと喋ってしまった。

「こんなに長い時間、付き合わせてしまってすみません」

「無理に付き合わされたわけじゃない。俺も楽しませてもらった。起業に興味があるのか?」

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