お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
「いえ。でも今まで自分の知りえない世界のことだったので、お話を聞くのが楽しくて」

「楽しんでもらえたならなによりだ。もしまたなにか聞きたくなったら、連絡するといい」

「ありがとうございます」

 交流会の終わりとともに、筑波さんに別れを告げる。

 気軽に言ってくれはしたけれど、きっとこれが最初で最後だろう。

 経営者なら忙しいだろうし、学生の質問に付き合っていられるほど暇じゃないはずだ。



 そう思っていたのに、私はそれからも何度か筑波さんに会った。

< 31 / 271 >

この作品をシェア

pagetop