お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
 もちろん、社長として働く藍斗さんの秘書を務める妄想にも勤しんだ。

 それを本人に伝えたら、よほどおもしろかったようでしばらくツボに入っていたけれど。

『お前には秘書よりも恋人でいてもらいたいな。仕事に集中できなくなる』

 笑いながら言った藍斗さんにますます夢中になった私は、今のままでもいいと言う彼の言葉にはかまわず、さらに勉強を重ねた。

 どんな瞬間でも彼にふさわしくありたいと思ったからだ。

 

 初めてのキスも済ませ、お泊まりデートもするようになり、やがて冬になった。

 そんなある日、私のもとに妙な電話がかかってきたのだ。

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