お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
 どんな家庭で育ち、なにが好きでなにが嫌いなのか。友人という人はそもそも男なのか女なのか、いつから藍斗さんと仲良しなのか。

 気になって聞いてみると、彼は『別におもしろい話じゃない』とだけ言って話を終わらせてしまった。

 本人が話したくないならいいか、と思いつつも、たぶん私の中には小さな疑問と不安が残ったのだろう。

 それがいつの間にか積み重なり、怪しい電話の言葉を無視できないほど大きくなっていた。

 忙しいというのは本当に仕事? 私以外の人と会っているんじゃ?

 藍斗さんへの気持ちが大きかったからこそ、余計に怖くなった。

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