お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
 すいぶん昔に『世界一のホテル王になって』なんて言ったけれど、彼ならばきっと自分の力でそれを叶えてしまえるのだろう。

 誇らしいと思うと同時に、いたたまれなくなった。

 別の女性を家に連れ込んでいる姿を見てもなお、彼を憎めない自分が悲しい。

 彼のいいところや、素晴らしい一面をたくさん知っているから。

「いくらなんでも見すぎじゃない?」

 優陽に苦笑され、肩をすくめる。

「かっこよすぎて見とれただけ」

 どちらの社長に、とは言わない。

 水無月社長もとても素敵な人だと思うけれど、私の目には藍斗さんしか映らなかった。

「たしかにかっこいい人たちだね」

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