お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
 同意してくれた優陽も壇上に目を向ける。

 その視線が藍斗さんに注がれているのかもしれないと感じた瞬間、また切なくなった。

 彼を独占したい気持ちが芽生えて情けない。

 誰だって藍斗さんを見たら、最初に出会った頃の私のように目を奪われてしまうに決まっている。

 そうならないほうがおかしいとさえ思っているのに、彼が注目されていると落ち着かない。

 もうそんなふうに思う資格はないのに、と唇を噛み締めた。



 話のほとんどが右から左へ通り抜ける状態のまま、セレモニーを終える。

 自由行動を促され、優陽とホテルの外へ向かおうとする。

 だけど、そこに思いがけない人物が現れた。

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