お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
 心の中で何度も優陽に謝っている間に、藍斗さんは彼女のための案内係とやらを呼びに行った。

 しばらくしてやってきたのは、驚いたことに水無月社長だった。

 これはまたとんでもなく豪華な案内役だ。

 藍斗さんから強引に後を任された水無月社長に対し、申し訳ない気持ちを抱きながらその場を後にした。



 私の手を掴んだまま、藍斗さんは人の目を避けつつホテルの一室に向かった。

 このホテルにたったふた部屋しかない最上級のスイートルームへ連れてこられ、部屋の鍵を閉められる。

「……久し振り。プレザントリゾートに関係があるなんて知らなかった」

「わかっていて来たのだと思っていた」

< 45 / 271 >

この作品をシェア

pagetop