お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
 今は私をなんとも思っていないのだと思い知らされて、切なくなった。



 二週間が過ぎ、優陽にも結婚の連絡を済ませた後。

 藍斗さんの実家へ結婚報告をすることになった。

 それならいっそ、私の実家にも連絡を済ませてしまおうと、土曜日は藍斗さんの家へ、日曜日は私の家へ顔合わせに向かうこととなる。

 慌ただしいものの、ややこしくなりそうな問題は早めにまとめて片づけておきたい。

 藍斗さんも同じ考えらしく、私が連日の顔合わせを提案した時に肯定的な反応を見せた。

 そうして藍斗さんの運転する車でおよそ一時間ほど高速を走り、都心に比べれば牧歌的な景色が広がる郊外へやってきた。

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