お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
「今日は結婚報告をしに来た。それ以上のことはなにもしないから、お前も彼らの言うことを聞かなくていい。せっかくなら泊まれだとか、俺との結婚生活について話を聞かせてほしいとか、そういう話をされてもだ」

「わかった。会話は藍斗さんに任せる」

 答えつつ、そんな話を妻となる女性にする人たちなら、悪い人たちじゃないのでは?という疑問が浮かんだ。

 こんな嫁を連れてきて、と責められる可能性まで考えていただけに、拍子抜けする。

 実際のところどうなるのか、緊張しながら藍斗さんに続いて彼の実家に足を踏み入れた。

「いらっしゃい、藍斗。急に結婚の報告だなんてどういうつもり?」

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