お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
「そうそう、なんだったら今日は泊まっていったら? 久し振りに帰ってきたんだから。ね?」

 積極的に息子との時間を取ろうとしているのを見る限り、やっぱり悪い人たちには思えない――と違和感を覚えていた時だった。

 藍斗さんが小さく息を吐いて、自身の両親を冷たい目で見る。

「どうせ金の話をしたいんだろう」

 ぎくりとしたのは、私も同じだった。

 あまりにも冷たい口調だったから、自分が言われたわけでもないのに心臓が縮み上がってしまった。

「そんな、別にそういうつもりは……。ねえ、お父さん」

「あ、ああ。まったく、親をなんだと思っているんだ……」

 ふたりの反応を見て、おや、と思った。
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