お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
「仕送りの件なら今まで通り変わらない。それで問題ないはずだ」

「でもね、藍斗。あなたが結婚したら、お嫁さんと一緒に住むつもりでいたのよ。そのためには新しい家が必要じゃない? 見繕っておいたんだけど、その話は――」

「同居はしない。円香には俺の家に住んでもらう」

「そうは言ったって、あなたも忙しいでしょ。円香さんだってきっとひとりで家にいるようじゃ寂しいわ。それに仲良くなるなら一緒にいるのが一番よ」

 どうやら義両親は同居を望んでいるようだ。

 私のために、と義母は言っているけれど、どうも『同居のための新しい家』が目的のように思う。

「円香さんもそのほうがいいでしょ?」

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