お飾り妻のはずが、冷徹社長は離婚する気がないようです
「明日は心配しなくても大丈夫だから。うちの両親は、むしろ私が結婚できてよかったと思ってるみたいだし」

「心配されるような生活をしていたのか?」

「そこまで言われるほどの生活はしてないけど、あなたと別れた後に誰とも付き合っていないから――」

 言いかけて、わざわざこんな話をする必要もないだろうと口をつぐむ。

 藍斗さんだって興味を持たないだろうと思っていたら、案の定なにも質問されなかった。



* * *



 翌日、今度は私の実家へ向かうことになった。

 また藍斗さんに車を運転してもらい、都内にある閑静な住宅地に降り立つ。

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