古本屋・忘れな草

 時は少し進んで、私は3年生になった。
 私は未だ、橘電機の告発準備をしている。

 両親から受験の圧力が増す中、私は市立病院に来ていた。

 一般病棟の3階の一番奥。部屋の外に掛けられた名札には『冬月 瞬』と書かれていた。

——下の名前、瞬っていうんですね。冬月さん

 あれから私は『古本屋・忘れな草』には行っていない。
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